アパレル生産管理の仕事は、デザイナー・パタンナーの作成したサンプルや、MD(マーチャンダイザー)のたてた販売計画を元に、実際に商品を製造し納品するまでを統括管理する業務です。品質(Quality・クオリティ)を維持し、価格(Cost・コスト)を一定に保ちながら、納期(Delivery・デリバリー)に合わせた製造を調整する、これらQ・C・Dの3つをいかにコントロールして、商品企画・販売計画に合致させるかが生産管理の腕の見せ所となります。
本記事では、アパレル生産管理を希望する人に向けて仕事内容や、アパレル生産管理に求められるスキル、どんな人に向いているかについても解説します。ぜひ参考にしてください。
アパレル生産管理とは
アパレル生産管理とは、商品の生産から納品までを統括管理する職種です。
具体的には生産工場の選定、生地などの素材やボタンやファスナーなど副資材の調達、品質と価格の維持、納期と進捗管理を行います。
企業によっては生産地が海外となる場合もあるため、外国語でのやりとりが発生することもあります。
また、アパレル生産管理は大きく3つに分類され、卸企業か、OEM・ODM企業かアパレル工場勤務かによって担当する業務幅が異なります。
卸企業の場合は、生産工場の選定・素材や副資材の調達・品質維持・価格決定・納期管理がメインとなりますが、OEM・ODM企業の場合は、上記に加えて取引先との商談・商品企画など営業要素が加わることがあります。
アパレル工場で生産管理業務を行う場合は、製造工程の管理・技術指導・設備の管理などがメインになります。
同じ生産管理でも業務範囲が異なるため、ご自身の経験やスキル・これから身につけたいキャリアに合わせた企業を選ぶことが大切です。
アパレル生産管理の仕事内容
それでは、アパレル生産管理の具体的な仕事内容について業務別に解説します。
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生産計画
まずは生産期間や数量を見積もり、納期までの詳しいスケジュールを立てます。
デザイナー・パタンナー、MDのたてた商品企画を元に、商品ごとにスケジュールを決定します。
なるべく無駄を出さず、納期に合わせて商品を生産するためには、計画時点でしっかりとスケジュールを立てておく必要があります。 -
生産工場の選定
商品の特性に合わせた工場を選定します。
縫製工場はそれぞれ特色があるため、商品に合わせた工場の選定をすることが大切です。特殊な縫製をする商品は、一定の設備や技術を持った工場に依頼する必要があります。企業によっては、価格を抑えるためにアジア圏など海外の工場を活用する企業も多く、語学の堪能な方は重宝される傾向があります。
生産工場を決定したら、発注や商品の仕様の説明、縫製の指示など、商品生産の細かなすり合わせを行います。 -
素材・副資材の調達
生産量に合わせた素材や副資材の手配をします。
生産に必要な量を算出し、適切な量を発注します。この時に、商品価格を一定に抑えるため、コストの計算をすることも大切です。
生産工場にかかるコストや、その後の流通コストも考え、コストが予算に収まるよう調整するのも生産管理の仕事です。 -
進捗・納期管理
工場での生産がスケジュール通りに進んでいるか進捗を確認します。
進捗の管理と合わせて、一定の品質が維持できているかも厳しくチェックが必要です。
時には予期せぬトラブルが発生する場合もあります。その時は、関連部署と連携をとりながら、速やかに対処します。トラブルを防ぐためには、日ごろから工場や関連部門としっかり情報共有しておくとよいですね。
アパレル生産管理のやりがい・大変なこと
前述のように、アパレル生産管理はアパレル商品の生産に欠かせない重要な管理役を担っています。
そんなアパレル生産管理のやりがい・大変なことを見ていきましょう。
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アパレル生産管理の仕事のやりがい
アパレル生産管理のやりがいは、生産工程に深く関わることができること。
デザイナーやパタンナー、MD、生産工場や資材製造元、商品を販売する店舗など商品に関わる様々な部門や取引先と連絡をとり、商品を作りあげていくのはアパレル生産管理ならではの醍醐味。
自分の関わった商品が店頭などで販売されているのを見た時には、喜びも大きく生産に関わったやりがいを感じられるでしょう。
また、新しい商品をいち早く見ることができるのも生産管理の特権。
アパレル業界で働く方は、アパレルが好きでトレンドに詳しい方も多いのではないでしょうか?
アパレル生産管理は出来上がった新商品をいち早く見ることができるのが楽しく、その生産に自分が関わっていることにやりがいを感じると言う方も多いようです。 -
アパレル生産管理の仕事の大変なところ
多くの部門や取引先と関わりながら業務をこなすアパレル生産管理の仕事では、予期せぬトラブルや問題が発生することもあります。
時にはスケジュールの再調整を迫られたり、資材の再調達やコストの見直しを求められることもあり、対処に追われ大変だと感じることもあります。
ただ、関連部門や取引先と協力し、トラブルや問題を解消できた時の喜びは一層大きく、大変なことをやりがいと感じる方も多くいます。
アパレル生産管理に向いている人とは?
では、アパレル生産管理に向いているのは、どのような人でしょうか。アパレル生産管理に向いている人について詳しく解説します。
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人と接するのが好きな人
多くの部署や取引先とのやりとりをするのがアパレル生産管理。
人と話すのが好きな人や、多くの人と関わるのが好きな人に向いています。 -
調整するのが得意な人
スケジュールを立てて、進捗を管理するのがアパレル生産管理の大きな役割。
複数の関連部署や取引先と様々な調整をする必要があります。
計画を立てたり、調整するのが得意な人に向いている仕事と言えるでしょう。 -
アパレルや商品生産に興味がある人
自分の関わった商品が店頭などで販売されるのはアパレル生産管理の大きな喜びの一つ。
アパレルやトレンドに関心があり、その生産過程に興味がある人はアパレル生産管理に向いているでしょう。
アパレル生産管理を目指すために必要なスキル
では、アパレル生産管理を目指すためにはどのようなスキルが必要なのでしょうか?
ここでは、アパレル生産管理に必要なスキルを解説します。
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■コミュニケーション力
多くの部署や取引先との連絡・調整が欠かせないアパレル生産管理の仕事では、相手の気持ちを汲み取りながらも的確に生産を進める高いコミュニケーション力が必要です。
時には価格交渉や納期調整、指示の変更など交渉業務もこなすため、アパレル生産管理には高いコミュニケーション力が求められます。
■調整力・管理能力
商品を決められた納期までに生産するのがアパレル生産管理の仕事です。
計画性と、計画通りに実行する調整力と管理能力が必要です。
仮にトラブルがあっても、計画修正し納期に収める柔軟性も求められるでしょう。
■高いコスト意識
デザイナーやパタンナーのようなクリエイティブ職と異なり、アパレル生産管理の仕事は常にコストがいくらかかっているかを意識する必要があります。
低コストだから良いというわけではなく、より良い品質でコストを抑えることが大切。
アパレル生産管理には、資材にかかるコストや縫製にかかるコスト、その他のコストを合わせて、常にベストの価格となるよう交渉・調整する高いコスト意識が必要です。
上記に加えて、語学力や、品質管理の知識、TA(衣料管理士)やTES(繊維製品品質管理士)などの関連資格を取得している方もスキルを生かして活躍できるでしょう。
最後に
アパレル生産管理は、商品を生産するあらゆる場面で活躍する、商品生産に欠かせない重要な役割です。
コミュニケーション力や管理能力に加えて、コスト意識などのビジネス感覚も求められる職種です。
責任あるお仕事ですが、その分やりがいも大きく達成感を得ることができるのがアパレル生産管理です。
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